どーも、ふわりふらりございます。
いやはや、これまた素晴らしい試合でした。
先日の『イングランド対アルゼンチン』も戦術的に凄い試合でしたが、この『日本対チリ』は、観ていて清々しい気持ちになれる試合、日本代表が頼もしく感じられる試合、とでもいえばいいのでしょうか。完璧とまでは言えないかもしれませんが、最高の試合でした。
トライへのこだわり
スコアの意味
前半5分、日本はトライを許しますが、すぐにトライを取り返すと、その後はトライを積み重ね、その結果、42対12というスコアで初戦を飾りました。トライを取られた直後に取り返せたのは、今の日本代表の調子がいいことの証なんでしょうね。他の球技、たとえば野球でも同じことが言えますよね。取られた直後の展開は、チームの調子のバロメーターのような気がします。
大会前のウォーミングアップゲーム5試合では、個々の選手の怪我や調子については心配するところもありましたが、試合結果には一抹の不安も抱かず、「日本代表は、チームとしては大丈夫」と信じているファンも多いはずです。
42対12というスコア自体はなんの変哲もなく、日本代表とチリ代表の実力や経験を比べれば妥当な結果でしょうね。ところが日本の42点は、トライ5点とコンバージョンキック2点、計7点を6回繰り返した結果なんですよね。ペナルティーゴール(PG)は狙ってさえいない。
それはチリ代表も同じでした。試合結果の数字だけを見れば、チリがPGを狙わなかったのは得点差があったからだという見方もできそうですが、この試合を観れば「チリは、得点差があるからPGを狙わないのではない。あくまでもトライにこだわっているんだ」と誰でも感じると思います。情熱的に、最後まで全力で戦う姿を、日本の3倍近くの失業率の中にあり、経済的に苦しむチリ国民に見せたかったようですね。
前々回の記事にも書きましたが、チリはRWCでの日本代表の奮闘に触発されたことをきっかけに、代表チームの強化に乗り出し、今回のRWC初出場となったそうです。そんなチリ代表ですが、交代で出場した選手も含めて、見た目からしてフィジカルが強そうで、実際のところ個々の選手がかなりの突破力を発揮する一方、9番のマルセロ・トレアルバ選手のようにトリッキーなプレーも見せてくれて、皆が皆、思う存分、伸び伸びとプレーしている印象でした。RWC初出場かつ初戦への意気込みから勇み足になったのか、少々熱くなっており、危険なプレーも散見されましたが、15番イニャキ・アジャルサ選手のジェントルマンな行為も見られ、応援したくなるようなチームです。私ふわりが日本代表以外で応援したいのは、オールブラックスですが、それに並んでチリ代表も応援することに決めました。ひょっとすると、サモア代表あたりと格闘技でいう『嚙み合う試合』を見せてくれるかもしれません。
NHK副音声『#ラグトーク』で解説者の五郎丸歩さんが仰っていたように、「ペナルティキックを与えられればゴールを狙い、その3点を積み重ねて点差を広げ、次第に相手の戦意をそいでいく。ボーナスポイント(BP)を得るためにトライを狙うのは後半に入ってから」というのが常套手段なのですが、この『日本代表対チリ代表』は両チーム合わせて一度もPGを狙わないという、昨今珍しい試合になりました。
日本代表ブレイブ・ブロッサムズ
記者会見にて
試合後の記者会見では、「PGを狙わなかったのは勝点5(勝って4点、トライ4本でボーナスポイント1点が得られる)を得るためだったのか。そしてそれは前もって用意したプランだったのか」という趣旨の質問があり、ゲームキャプテンである流大選手はこのような内容の回答をされています。
「ボーナスポイントを狙うというプランも、トライを狙うというプランもなかった。フィールドにいる感覚にもとづき、80分を通した試合展開を考えたときに、敵陣22メートル内にいることで相手にプレッシャーを与え続けることが勝つために大事だと、自分が判断した。そしてその判断を皆が信じてついてきてくれた」
このコメントが、本音なのか、イングランドへの心理戦を仕掛けた記者会見用なのかは分かりませんが、いずれにせよBP狙いというのは隠す必要がないことですから、流選手がそれを否定した以上、そのとおりなのでしょう。
それはさておき、流選手が仰った「敵陣22メートル内にいることで相手にプレッシャーを与え続ける」、つまり「常に敵陣で戦う」というのは理想的な戦術であり、特にこの後のイングランド戦には有効な戦術だと思われます。ただし、そのためには相当のフィットネス、つまり持久力が必要であり、流選手は『そういう戦い方ができるかどうか』をゲームキャプテンとして確認したという側面があるのでしょうか。
もちろん、けしてチリ代表を格下としてなめてかかったわけではないはずです。初出場とはいえ、アメリカ予選でアメリカとカナダを破っているわけですから、下手をすれば足元をすくわれかねないリスクがある。それでもあえてPGを捨て、トライにこだわったのは、理由や目的がどうであれ、それだけ日本代表が自分たちの強さに自信を持っていることの証にも見えるんですね。なんとも頼もしいじゃありませんか。
RWC初出場組 フォワード
特に目についたのは、ロックに入ったアマト・ファカタヴァ選手、サウマキアマナキ選手、そして後半にサウマキ選手と交代したワーナー・ディアンズ選手ですね。ファカタヴァ選手は2トライをあげただけでなく運動量が多く、攻守にわたっていたるところに顔を出していました。サウマキ選手もゴールライン間際でのディフェンスでフィジカルの強さを見せつけ、ディアンズ選手はトライをあげています。こうして見るとフォワードは充実してますね。ウイング経験者の2人、ファカタヴァ選手とサウマキ選手がいることで、戦術の幅も広がりそうです。ショートラインアウトでバックスに混ざっても面白そうです。相手が上手く合わせてこなければ、ミスマッチが起こりそうですよね。
RWC初出場組 バックス
ジョネ・ナイカブラ選手がトライをあげ、セミシ・マシレワ選手のランと滞空時間の長いハイパントが目につきましたが、バックスは全体的にパスのつながりが悪いのかなという感じでした。といっても、イングランド戦に向けて修正されるとは思いますが。
2019出場組 フォワード
さすがに見ていて安心しますね。姫野主将が怪我のため、ピーター・ラブスカフニ選手が出場停止中のため欠場となりましたが、この試合が代表50キャップ目となった稲垣選手を始めとしたフロントローしかり、相変わらずの仕事量でトライまであげたリーチ選手しかり。具選手の膝は気になりますが、グー君ならきっと大丈夫だと、そう信じます。
2019出場組 バックス
こちらもよかったですね。流選手はゲームメイクが冴え、松田選手は蹴ったボールの軌道がまっすぐ、コンバージョンでもタッチでもナイスキックしかなく、中村選手はディフェンスでいい仕事をした上にトライもあげ、松島選手はランだけでなく50:22も決め、レメキ選手はけっこうな独走を見せてくれました。
姫野主将やラブスカフニが選手は、うずうずしてたでしょうね。そのうずうずパワーをイングランド戦で爆発させてくれるはずです。
横綱相撲
振り返れば、2012年4月にエディー・ジョーンズさんが日本代表ヘッドコーチ(HC)に就任され、その後ジェイミー・ジョセフさんにバトンタッチし、今に至るこの10年弱の間、苦しい練習や試合を乗り越えてきたことで、日本代表は本当に強くなったんだと思います。それはラグビー日本代表のファンであれば、誰でも感じていることですよね。
また、日本代表の奮闘に触発され、今回初出場を果たしたチリ代表も、同じように苦しい練習を乗り越え、必死でアメリカ予選を勝ち抜けてきたはずです。そんなチリ代表を相手に、日本代表は、結果的にそう見えるだけなのかもしれませんが、本来の意味での『横綱相撲』を取ったように見えました。チリ代表の果敢な攻撃を堂々と受けて立ち、先にトライを上げられても浮足立つことなく即座に取り返し、リーダーの選択を信じて戦い、そして勝った。これが、RWC2015の南アフリカ戦で1勝をあげるまでは、RWCの通算成績が1勝21敗2分だったチームなんですからね。今の日本代表、やばいくらいカッコイイっすね。私ふわりは、この試合だけでも今回のワールドカップを観た価値があると思っていますし、すでに『NHK+』や『J sports』で繰り返し観ております。
もちろん、どれほど調子がよかろうが、どれほど自信があろうが、どれほど強かろうが、勝負は時の運といいますから、今後の3試合がどうなるかは分かりません。3連勝の可能性もあれば、3連敗の可能性だってある。なにしろ相手も強敵だらけですからね。ただ、チーム全体、そして個々の選手を見てみると、次のイングランド戦も期待せざるを得ないでしょう。
NHK副音声『#超ラグトーク』
これがめちゃくちゃ面白かったですね。「田村選手、めちゃくちゃ動体視力がよさそうだな」と感心したこと以外は、笑いしか残ってませんね。ラグビーの実況であんなに笑ったのは初めてです。
杉浦友紀アナが進行役で、ゲストが、2015代表の五郎丸歩さん、2019代表でキヤノンイーグルス主将の田村優選手、2019代表の福岡堅樹さん、そして俳優の岡田准一さん、という豪華な顔ぶれ。杉浦アナと岡田さんが話を振り、お三方がそれに答えるという流れでした。
五郎丸さんは、ちょいちょい田村選手をいじったり、そうかと思えばフォワードトークを雄弁に語りながらも語尾で急に自信がなくなったようなことを言ったり、これにはかなり笑いました。田村選手は「フォワードのことは全然わかんないっす」とすっとぼけたスタイルで、そして福岡さんはいたって真面目にしているのにもかかわらず先輩2人にいじられ、それぞれが笑いを取る。三者三様でいい組み合わせでした。基本的に本音トークのようで、ナギー(流選手)いじりトーク、グー君いじりトークは特に笑え、杉浦アナの笑い方が、それに拍車をかけるという感じでした。これ、ラグビー観戦に慣れてない人の中でも、ルールにはあまり興味がないという人にはぴったりかもしれませんね。
さあ、今日はこんなところで失礼いたします。
またお会いしましょう。ありがとうございました!
ふわりふらり
コメント