ワールドカップ予選も、各プールそれぞれ全10試合のうち6試合が終わり、ほとんどのプールで予選突破2チームがほぼ決まってきた感があります。この試合でも、プールCの上位2チームがほぼ確実となりました。
オーストラリア代表ワラビーズ
あらためて、「いやはや、これはこれは」という感じですね。
ワラビーズがワールドカップ予選で初の敗退の可能性が濃厚となりました。
とはいえ、先日の、ワラビーズがフィジー相手に自分たちの強みを出せずに負けた試合、さらに遡って、そのフィジーを相手に、ウェールズが自分たちのラグビーを崩すことなく(最後の10分は想定外だったでしょうが)倒した試合、その二つの試合を観た方の大部分がこうなることを想定していたでしょう。
どうやら、初戦のジョージア戦では調子が上がってきたかのように見えていましたが、さすがのエディーさんも、それまで不調にあえいでいたワラビーズを、7ヵ月という短い期間で、しかも怪我人が続出した状況下では、同じティア1(現・ハイパフォーマンスユニオン)の相手やそれと同クラスの相手と、互角に戦えるまでの状態には持ってこれなかったようです。フィジー戦には「何もできなかった感」がありましたが、今回のウェールズ戦には「何もさせてもらえなかった感」がありました。
フィジー戦以降、タニエラ・トゥポウ選手が欠場しているのも原因となっているのでしょうか。ジョージア戦ではスクラムで優位に立てていましたが、その後の2試合を全体的に見ると、少なくとも優位に立っているようには見えませんでした。
パスを繋いで攻撃を継続しているんですが、それがトライには繋がらないんですよね。決定力不足なのか、それともフィジーやウェールズのデフェンスが強固なだけなのか。もしかすると、デフェンス面も問題があるのかもしれません。チーム構成も、若返り過ぎたのかもしれません。全員に同じ方向を向かせるような、ゲーム中に流れを変えるような、そんな強いリーダーシップが欠けているのかもしれません。なんなんでしょうね。
ときおりエディーさんが画面に映りましたが、インカムを投げつける元気さえないようでした。エディーさんは更迭されてしまうのでしょうか。続投してもらいたいな。今回、エディーさんが思い切って若手中心のチーム構成にしたのは、次回ワールドカップ、第11回オーストラリア大会を視野に入れてのことだというのは、周知の事実でしょう。そしてまた、その大会で、エディーさんが育て上げた『新生ワラビーズ改』と、我らが日本代表が一戦交え、エディーさんへの恩返しの意味も込めて勝つ、そういうストーリーを夢見ている日本人ファンも多いはずです。まあ、日本人ファンのことは置いておいたとしても、オーストラリアのラグビーが、13人制ラグビー『ラグビーリーグ』に奪われている人気を取り戻すのに、ワールドカップはいい機会になるはずですから、オーストラリアラグビー協会が早まることなく熟考されることを祈るばかりです。
ウェールズ代表レッド・ドラゴンズ
ワラビーズとは打って変わって、ウェールズは絶好調ですね。先日のフィジー戦で見せた「堅いディフェンスから機に応じて攻撃に転じる」というウェールズのスタイルが、試合に勝つたびに強化されてきた、そんな印象を受けますね。
ちなみに、こちらのHC(ヘッドコーチ)、ウォーレン・ガットランドさんは、エディーさんがワラビーズHCに再任された少し前にウェールズHCに再任されたんですよね。とはいっても四年前まで、RWC2019までの12年という長い間、ウェールズのHCをしていたわけですから、エディーさんとはだいぶ事情が異なるわけですが。ウェイン・ピヴァックさん(現NECグリーンロケッツ東葛HC)が後任となってから成績不振が続き、ガットランドさんの再任に至ったようです。
10番ダン・ビガー選手が胸(肋骨?)の負傷で前半12分にベンチに下がったのですが、交代で出場になった22番ギャレス・アンスコム選手がビガー選手の代役を見事に勤めましたね。いや、それ以上の活躍ぶりでした。最初のPGと最後のコンバージョンこそ外したものの、PG6本にコンバージョン1本、おまけにドロップゴールも1本決めています。さらには、トライに繋がるショートパントも決め、MOM(Man Of the Match)に選ばれました。もし、ビガー選手の怪我が芳しくなくとも、安心できるでしょうね。
ただ、私ふわりとしましては、キャプテンとしてもチームをまとめているジャック・モーガン選手が素晴らしかったと思います。フランカーですからタックルでチームを救うのは当然ですが、この選手はそれだけではなく、見かけによらず器用なんですよね。
前半2分には、マイボールラインアウトからの一次攻撃でアタックラインに混ざってラインブレイク、その後はデフェンス(おそらくマーク・ナワンガニタワセ選手)を充分に引きつけ、9番ガレス・デーヴィス選手にパス、そのままトライとなりました。
さらに前半25分、自陣ゴール前でのワラビーズボールのラインアウトでは、キャッチしたボールをタッチに蹴り出し、『50:22』で味方を救いました。
そうかと思えば、後半37分にはモールトライを奪って、フォワードとしての仕事もきっちりこなす。
この人はもう『スーパーフランカー』と呼んでもいいのではないでしょうか。
アンスコム選手のドロップゴールや、ゴール前へのショートパント、モーガン選手の『50:22』など、ウェールズの攻撃はまさに『蜂のひと刺し』という言葉にぴったりですね。あ……、レッドドラゴンズだから『竜のひと吹き』ですか……熱そうです。
プールC展望
さて、プールCの1位通過はウェールズ、2位通過はフィジーでほぼ決まったようですね。もっともフィジー代表フライング・フィジアンが残り2戦で血迷ったことをしなければの話ですが。なんてったってフライングですからね……、正直、一抹の不安が残ります。ワラビーズは初の予選敗退がカンフル剤になるでしょうから、今回はフィジーに通過してほしいのです。
いずれにせよ、我らが日本代表の準々決勝の相手はウェールズに決まったわけです。どんな戦い方を見せてくれるのか、楽しみですね。いっそのことトライはあきらめて、終始ウェールズ陣でポゼッションラグビー、そこからのPG&DG狙いも面白そうで、観てみたいです。
さいごに
開幕から今日までの2週間強を振り返ってみると、もちろん日本代表のプールDがもっとも心惹かれるわけですが、プールCはもっと気楽に観戦できて、これはこれで楽しかった。プールAとBは、最初から決まってるようなものですから、興味があるのは、オールブラックスの試合と、ナミビア代表のワールドカップ初勝利となるか、その2つくらいです。
しっかし、今大会のウェールズは強いですね。フィジアンマジックも、エディーマジックも、きっちり弾き返しました。なんなんだろ。ひょっとするとウェールズも魔法を使ったのでしょうか……、んなわけないか……。ああ、忘れてた。そもそもイギリスってハリーポッターの国でしたね。
てことは、さしずめ……
エクスペリアームス! プロテゴ!
てな感じですかね。
では、今日はこんなところで失礼いたします。
またお会いしましょう。ありがとうございました!
ふわりふらり
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