どーも、ふわりふらりです。
プロフィールでも、初投稿の記事でも申し上げておりますが、まぎらわしいかと思われますので、みたび色付け太字にしておきます。私の名前は、ふわりふらり……です。
さておき、前回のお話で申し上げたとおり、ラグビーについて語っていきたいと思っております。
8月15日に日本代表メンバーが発表されました。ワールドカップに登録可能なメンバー枠は33人ですが、ケガ人が続出したため暫定的に30人が発表され、残り3枠に誰が選ばれるのか気になる会見となっておりました。その後1名の欠員が出たとのことで、18日には追加の4人が発表され、いよいよ代表メンバーが決定という運びになりました。さあ、あとは9月10日に生中継される日本代表戦のキックオフを待つだけです。
前回のワールドカップを振り返って思うこと
思い返せば、2019ラグビーワールドカップは、日本で開催されたということもあり、日本全土で大盛況でしたね。プールAの最終戦、日本対スコットランドの視聴率は、関東地区で平均39.2%、瞬間最高視聴率53.7%に達したそうです。ビデオリサーチ社の推計によれば、日本代表の試合を1試合でも観たという人の数は8,731万人とのことでした。
当時の日本の人口の約7割という数に、ふわりは「すごいなぁ~」と思いつつも、ふと思うことがあります。
それは、その視聴者の中には、世間が盛り上がってるから見てみたものの、
「ルールがよく分からんな~」
と感じた人もいるでしょうし、家族や友人とのつきあいで見たものの、
「大きな殿方がごちゃごちゃと集まって、いったい何をなさってるのか……正直よく分かりませんでしたわ」
と感じた人、ようは「ルールがよく分からない」、「密集で何をしているのかよく分からない」といった感想を抱いた人も多いのではないか、ということです。
その人数が、仮に全体の1割だとしても、8,731万の1割であれば、873万人ですからね。それだけの人が「ラグビーってよく分からないな」という印象を抱いたままでいて、さらにその873万人のうちの、仮に1割にあたる87万人が、
「ラグビーって……よく分からなくて……正直つまらん」
と思ったとしたら、これは由々しき事態です。87万人といえば、今現在の大阪府の人口には少し及びませんが、愛知県の人口よりは多いんですからね。
ラグビーは分かりにくいスポーツなのか
「実際のところ、ラグビーって分かりにくいスポーツなのでしょうか?」
もし、こんなことを聞かれたら、多くのラグビーファンはこう答えるでしょう。
「はい。分かりにくいスポーツです。すくなくともサッカーよりは」
いったいラグビーのどこが分かりにくいのか。それを「ラグビーはなぜ分かりにくいのか」という一段下がった次元から考えてみます。おそらく、ラグビーが分かりにくい原因のひとつは、ラグビーが『いろいろと多い』スポーツであるからだと思います。
ラグビーっていろんな面で要素が多いよね問題
なにが多いって、そもそものプレーヤー数が多いですよね。両チーム合わせて30人。この大所帯が、FIFA推奨のサッカーコートより若干小さいコートでプレーします。サッカーの22人と比べても、コート内のプレーヤー密度が高いんです。さらに、まったく同じコートを用いる7人制ラグビー『セブンズ』と比較すれば、プレーヤー密度は倍以上になります。
このプレーヤー数の多さこそ、ラグビーが(サッカーやセブンズより)分かりにくいといわれる原因のひとつである、というのは周知の事実でしょう。ラグビーでも、サッカーと同じように、見るべきプレーヤー(ボールを持っているプレーヤーやディフェンスのプレーヤー)が2~3人の場合は、なにが起きているか分かりやすいはずです。けれど、単純な話、注目すべきプレーヤーがたとえ2~3人でも、その他のプレーヤーの数が多ければ多いほど、その陰になって角度的に見えない場面が多くなります。見えなければ、なにをしているのか分かりにくいのは当たり前ですよね。
TV中継では、複数の角度からカメラが向けられるので、まだいいんですね。けれど、ラグビーの場合、ボールに群がるプレーヤー数が多い。場合によっては20人近い選手が密集を作ります。こうなると、カメラが何台あっても、見るべきプレーヤーが見えない場面も多くなります。赤外線カメラとは原理の異なる新種の透視カメラでもあれば別ですが。
さらに、ボールに群がるプレーヤー数が多い分、反則を取られる可能性のあるプレーヤー数も多いわけです。そして、『タックル』というプレーが許されている以上、プレーヤーの安全性の確保のため、危険な行為を取り締まるルールも多い、つまり、反則の種類が多いということになります。
密集で反則が起きた場合に『誰が、どんな反則をしたのか』について、手に取るように分かるためには、なにが必要か。それは、予知能力と新種の透視カメラです。これから反則をする選手を予知し、その視界を遮る選手を透視できる必要があるわけです。ですが、そんな能力や道具なんてないですよね。もちろん、ラグビーに精通しているベテランカメラマンであれば、長年の経験にもとづく勘や確率論によって、そのシーンを捉えることができる場合もあるでしょうが、いつも上手くいくとは限りません。
ですから、テレビの前の視聴者やスタンドの観客にとっては、『たまたまカメラや自分の視線が向けられていて、その視界を遮る選手がいない』という条件が揃わなければ、『誰が、どんな反則をしたのか』分からないのは当然のことなのです。
そしてそれは、実況アナウンサーや解説者でさえ同じことです。ですから、彼らもレフリーの笛、ジェスチャー、そしてコールに注目するわけですが、場合によっては、それでも分かりにくいことすらあります。なので、反則名や誰が反則をしたかについては、触れないことも多いわけです。
さらにいえば、その密集ができる場面が多い。試合の流れの中で、頻繁に密集ができます。つまり密集と散在、集合と離散の繰り返しなのです。ですから観戦者にとっては、試合の中で分からない場面が繰り返し訪れる、ということになります。
さて、『ラグビーっていろんな面で要素が多いよね問題』はまだまだ尽きませんが、これくらいにしておきます。ようは『○○が多い』というのが原因になって、ラグビーが分かりにくくなっているわけです。なにしろ見えないんですから、ラグビーは分かりにくくて当然ということになります。
ではなぜ、ラグビーというスポーツは、その分かりにくさの原因である『密度の高さ』や『○○の多さ』を200年近くも放置してしているのか。それは、まさにそこにこそ、ミツバチを惹きつける花の香りのように、ラグビーファンを惹きつける魅力があるからかもしれません。『密度の高さ』は『蜜度の高さ』かもしれないのです。
感想の実態
話を戻します。「ルールがよく分からない」という人の中には、「サッカーのルールと共通する部分は分かっている」という人がいると思います。「密集で何をしているのかよく分からない」という人の中にも、「密集でボールを奪い合っているのだけは分かる」という人もいると思います。
これを突き詰めれば、「ルールがよく分からない」という人の何割かは「ほとんどのルールは分かるけど、密集で起きた反則のルールは全然分からない」、「ボールを奪い合っているのは分かるけど、密集で誰がどんな反則をしたのかがサッパリ分からない」と言ったほうが正確である、ということになりそうです。『分かること』と『分からないこと』が混ざって、『だいたい分かる』になればいいのでしょうが、そうではなく『よく分からない』になってしまう。『よく分からなくても楽しい』と思える方は素敵ですが、『よく分からなくてつまらない』という方向にいってしまいそうな人には、余計なお世話ながら「ちょっと待ってください。もうちょっと知れば楽しくなるかもしれませんよ」と言いたくなってしまいます。
実際、その『分かりにくいラグビー』にも、根強いファンがいるわけです。前回のワールドカップ中継で映し出されたスタジアムの観客席を思い出せば、その尋常ならざる熱狂ぶりは野球やサッカーのファンにも負けず劣らずといったところでした。いったいなぜ、彼らはラグビー観戦であそこまで盛り上がれるのでしょうか。
分かりにくいが楽しいラグビー
ラグビーファンの全員が全員、ラグビーのルールを熟知しているわけではないはずです。密集で起こっていることを完璧に分かっているわけでもない。
「ラグビー? ああ、ルールもだいたい分かるし、観ていて楽しいよね」と肩をすくめ、両手のひらを上げて微笑む男性もいれば、「よく存じ上げませんけど、たいへんエキサイティングですわ。おほほ」と口元を手で隠して上品に笑う女性、さまざまでしょう。ただし、ラグビーについて『ある程度は分かっている』人が多いはずです。その『ある程度』がどの程度なのかは、人によって変わるでしょう。
たとえば、「日本代表や好きな選手を応援を楽しむ」というファン的な楽しみ方もあれば、「選手のスピード、パワー、テクニック、そして試合の迫力を楽しむ」といったスポーツ本来の純粋な楽しみ方もある。さらには「ラグビーの戦略を楽しむ」といった思考ゲーム的な楽しみ方もある。その楽しみ方によって『ある程度』の度合いは違っていて当然です。もちろん、どの楽しみ方が、いいとか悪いとか、上だとか下だとか、そんなことはどうでもいいことです。
大事なのは「自分が楽しめる程度には分かっている」ということですよね。そのためには、『分かっている部分』と『分からない部分』を分けることです。そして『分からない部分』を必要に応じて攻略していけば……。
はじめに
ということで、2023ラグビーワールドカップに臨み、「前回大会は試合を観てもよく分からんかったけど、今回も観てみっか」というラグビー観戦初心者、「前回は見逃したけど、今回は1試合くらい観てみようかな」という観戦未経験者の方々を対象として、ラグビーが分かるようになるための最低限の内容から、ちょっと戦略的に楽しめるようになるために必要な内容まで、幅を持った記事を書くことにしました。
題して『ラグビー観戦入門』、今回は『とりあえずこれだけ編』ということで、その名のとおり、とりあえずこれだけは目にしておいてください、という内容で話を進めていきます。
記事の読み方
まずは、ラグビーの用語をすべて覚える必要はございません。最初は赤文字になっている重要ワードだけで充分です。それも、無理に暗記するのではなく、「あ、これは覚えておいた方がいいワードなんだな」と気にかけていただくだけでOKです。
また、『木を見て森を見ず』にならないよう、森を、つまり全体像を捉えやすいように話を進めていきますが、場合によっては細かい話になることもあります。そういう場合は、「ふーん、なんか細かいこと言ってるな。とりあえずさらっと読んどくか」くらいの軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。
さらに、ところどころ、サッカーやバスケ、あるいは7人制ラグビー『セブンズ』などを引き合いに出しますが、「どのスポーツが優れている」などという不毛な主張をするつもりは、けしてございません。
では、徐々に本題に入ります。
ラグビーについての共通認識として
仮に「ラグビーというスポーツを50字以内で定義せよ」という問いがあれば、私ふわりはこう答えますし、多くのラグビーファンも同じでしょう。
ラグビーとは、楕円球を用い、15人対15人で、トライやゴールを決めて得点を競い合うスポーツである。
ラグビーといえばトライのイメージが強すぎて、ラグビーの試合をほとんど見たことがない人は「ゴールを決める?」と思うかもしれませんが、ゴールもラグビーの大事な得点源です。これについては、追々お話ししていきます。
上記の定義を共通認識として、ラグビーというスポーツを、『空間』、そして『時間』の観点から見ていきます。まずは、簡単な方、『空間』の観点から見てみましょう。
ラグビーコート
『ラグビーっていろんな面で要素が多いよね問題』のひとつが、ラインの多さです。そこで、とりあえず見ていただきたいラインだけを描き、エリアを色分けしています。ざっくりと「こんな感じか~」くらいの気持ちで見ていただければOKです。
競技区域外と2つの競技区域
競技区域外
ここにボールが出れば、原則的に試合はいったん中断です。
競技区域① 水色のエリア:『フィールドオブプレー』
プレーのメインエリア。
競技区域② オレンジのエリア+ゴールライン上:『インゴール』
このエリアにボールを置けばトライ。
ゴールラインはインゴールに含まれるため、ライン上にボールを置けばトライ。
ライン(その他のラインは後回し!)
ハーフウェイライン(横のライン)
文字どおり(2本のゴールラインの)中間線。このラインによってコートが2つの陣に分かれます。
ゴールライン(横のライン)
水色のエリア(フィールドオブプレー)とオレンジのエリア(インゴール)の境界線ですが、このライン自体はインゴールに含まれます。
デッドボールライン(横のライン)
競技区域の外枠のひとつであり、オレンジのエリア(インゴール)を囲むラインのひとつでもあります。
タッチライン(縦のライン)
競技区域の外枠のひとつであり、水色のエリア(フィールドオブプレー)を囲むラインのひとつでもあります。
タッチインゴールライン(縦のライン)
タッチラインの延長線。競技区域の外枠のひとつであり、オレンジのエリア(インゴール)を囲むラインのひとつでもあります。
競技区域とライン上の関係
黒の点線内がフィールドオブプレー、赤の点線内がインゴールです。大外のラインは競技区域外です。
ゴールラインはインゴールに含まれるため、ライン上にボールを置けばトライ。
大外のライン(タッチライン、タッチインゴールライン、デッドボールライン)は競技区域外に含まれるため、ボールや、ボールを持った選手が、これらのラインに触れた時点で、ボールは競技区域から出たことになります。
本章の最後に、競技区域の中で、ボールを手にした選手が選択できるプレーを見ていきます。
ボールを持った選手にできること
図3の水色の部分でボールを手にした選手には、以下3つの選択肢があります。
ボールを持って走る
四方八方どこに走ってもよい。
ボールを蹴る、ボールを蹴って味方に渡す(キックパス)
四方八方どこに蹴ってもよい。
ただし、蹴った側のチームで、蹴られたボールを追いかけることができるのは、または追いかけてキャッチできるのは、以下のパターンに当てはまる選手だけです。話の便宜上、ボールを蹴った選手を『A』、その味方を『B』および『C』とします。
① 蹴った本人A、そしてAが蹴った瞬間にAより自陣側にいるB
② 蹴った本人A、そしてAが蹴った瞬間にAより自陣側にいるB、さらに蹴った後にAが走りだしたことでAより自陣側に位置することになったC
② 蹴った本人A、そしてAが蹴った瞬間にAより自陣側にいたB、さらにBが走りだしたことでBより自陣側に位置することになったC
ボールを放って味方に渡す(パス)
ボールを放ってパスする場合、横のライン(ハーフウェイラインやゴールラインなど)に平行な架空のライン上にいると想定し、そのラインより敵陣側に放ると『スローフォワード』の反則を取られます。たとえプレーヤーの体がどの方向を向いていても、『前方』はこのラインより敵陣側です。
手でも足でもボールを扱えるため、サッカーやバスケより選択肢がひとつ多いですね。なのでルールも多いわけです。
これもまた『ラグビーっていろんな面で要素が多いよね問題』のひとつであります。ただし、だからこそ、ひとつの試合で様々なプレーを見ることができ、選手が予想外の選択をしたときの驚きや、予想通りの選択をしたときの「やっぱりそうきたか」的な満足感を与えてくれるわけです。
次は『時間』の観点から見てみましょう。
試合の流れ
流れの大枠
とりあえず、大枠はこんな感じです。
2つの水色の矢印は、試合時間の流れです。
前半戦も後半戦も、キックオフで始まります。こんな感じです。
前後半ともに、40分を過ぎてから最初にプレーが切れた時点で終了です。ただし、(やや)重い反則によってプレーが切れた場合などは、反則に応じたプレーで再開され、試合は継続されます。当たり前ですが、反則のやり逃げは許されないわけです。
Dear (やや)重い反則ってなに?と気になったあなた様 後述しますので、ここは気になさらずに。 FROM ふわりふらり
しょっちゅう止まる試合の流れ
当たり前のことを、あえて確認します。
ラグビーもサッカーと同じように、実際には何度も試合の流れが止まり、中断が入ります。中断の原因と再開方法を図9に書き加えると下の図10になります。前後半どちらにも当てはまる、40分(+α)の流れの一例です。
水色の部分では「ボールを持って走ったり、パスしたり、キックしたり、敵味方が入り乱れてボールを奪い合ったり」といったプレー、いわゆる『ジェネラルプレー(またはゼネラルプレー)』が繰り返され、試合が流れていきます。
赤色の部分では「得点、反則、ボールが外に出る」といった試合を中断させる原因が発生しています。
そして、黄色の部分では、中断された試合を再開するプレーが行われています。再開方法としては、図の3種類のプレーの他にも『フリーキック』、『ペナルティキック』、『ドロップアウト』という3種類のプレーがあり、計6種類のプレーのいずれかが、中断の原因に応じて選択されます。
なお、実際の試合では、中断はもっと多くなります。ちなみに、1ケ所だけ中断を2つ並べてみたのは、開始方法や再開方法のプレーにおいて反則があれば、再び中断し、反則の種類に応じた方法で再開されるためです。これも実際の試合では何度も起きます。
水色の部分で行われている『ジェネラルプレー』というワードを、テレビ中継の実況などで耳にすることは、ほぼないと思います。ですから覚える必要もありません。ふわりは、お話を進める上で便利なワードなので使っているだけです。
これに対し、試合の開始方法である『キックオフ』に6種類の再開方法を加えた計7種類のプレーを、まとめて『セットプレー』と呼びます。これは覚えておいた方がいいワードです。
セットプレー
しかし、開始方法と再開方法が計7種というのは多いですよね。これによってルールが多くなるわけです。
ここにもまた『ラグビーっていろんな面で要素が多いよね問題』のひとつがあるんですね。
ただし、『ボールを持った選手にできること』のところで述べたことと同じで、だからこそ、ひとつの試合で様々なプレーを見ることができるんですね。特に、スクラムとラインアウトは別のスポーツのようですし、実際「スクラムは別の競技だ」と言われています。そんなふうに、いろいろなプレーがあるからこそ、太めの選手も、小さい選手も、背の高い選手も、いろいろな体格の選手に活躍の場があり、観客はその姿を観て楽しめるわけです。
では、そのあたりのことも含め、動画でとりあえずのイメージをつかんでください。
キックオフ
前後半の開始方法です。得点された側が、ハーフウェイラインから敵陣にボールを蹴ることで試合が開始されます。プレーのイメージは、上のキックオフ動画でご覧いただいたとおりです。
リスタートキック
得点があった際の再開方法です。得点された側が、ハーフウェイラインから敵陣にボールを蹴ることで試合が再開されます。上のキックオフ動画と同じイメージです。
スクラム
軽い反則(後述)があった際や、密集からボールが出ない際などの再開方法です。両チームのフォワード(背番号1~8の選手)が組み合い、反則された側のスクラムハーフ(背番号9番の選手)がボールを投入し、押し合います。
まずは、スクラムの組み方について非常に分かりやすい動画がありますので、ご覧ください。
フォワード8人がバインドし合い、レフリーのコールを待ちます。「クラウチ」のコールでかがみ、「バインド」で前列3人同士がつかみ合い、その状態から「セット」で肩を合わせます。はたから見ると、「バインド」の状態ですでに組み合っているように見えますが、実際は互いの耳の当たりが触れる程度まで首を入れているにすぎません。
実際の試合では、こんな感じです。
【軽い反則の例】
反則名 | 反則内容 |
ノックオン | ボールを前方に落とした |
スローフォワ―ド | ボールを前方に投げた |
この動画のスクラムまでの経緯を知りたい方は……
動画の時間ではなく、動画左上の試合時間で、50分30秒あたりからご覧ください。アイルランドの10番ジャック・カーティ選手が日本の防御ラインに突っ込んできたところを、日本代表の中村亮土選手(ニックネーム:りょうと……たんなる呼び捨てじゃんか)がタックルに入り、さらにトンプソンルーク選手(ニックネーム:トモ……なんでトモなの?)もタックルに入り、二人でカーティ選手を倒します。その際、倒れたはずみで浮いたボールがトンプソン選手の手元に収まりそうになるのですが、ボールが手につかず、前に落としてしまう格好になります。これが『ノックオン』という反則に該当します。「これが反則っていうのは厳しくない?」と思う方もいるかもしれませんが、「ボールを前に落としてはいけない」という規則に反しているため、文字どおり反則ということになります。ただし『軽い反則』に該当しますから、再開方法はアイルランドボールのスクラムになります。
ジェネラルプレー(この場合はタックル)の際の軽い反則(この場合はノックオン)で中断、セットプレー(この場合はスクラム)で試合再開という展開です。この展開を意識してください。
さらに詳しく知りたい方は……
レフリーに注目してください。トンプソン選手の手からボールがこぼれ落ちるのが50分38秒、その1秒後の50分39秒、レフリーが、笛を吹かずに、つまり試合を止めることなく、アイルランド陣側に左腕を差し出しながら、「ノックオン」と言っていますね。この左腕のジェスチャーは、「反則されたのはアイルランドだよ」という意味でもあり、さらに「アイルランドのアドバンテージでプレーを続けるよ」という意味にもなります。
この『アドバンテージ』というのは、「反則があっても、反則をされた側が優勢な間は試合を止めない」というルール、言い換えれば、反則された側(この場合アイルランド)にとってはボーナスタイム、反則をした側(この場合は日本)にとっては罰ゲームのようなものです。というのも、このボーナスタイムの間にアイルランドが劣勢になれば、日本の反則(50分38秒のノックオン)に対する笛が吹かれ、その反則があった地点に戻って、アイルランドボールで試合が再開されるからです。時間を巻き戻すようなものです。
ちなみに、このボーナスタイムでは、たとえアイルランドが反則をしたとしても、その前の日本のノックオンが取られます。試合を観ていて「なんで相手が反則したのに、全然違う場所で、しかも相手ボールで再開されるの」という疑問を持ったことがある人は多いと思いますが、それはこのアドバンテージによるものと考えてくださって結構です。かなりの不平等感はありますが、反則をしたのだからやむなし、ということです。
話を戻すと、アドバンテージというボーナスタイムを与えられた側は、ミスや反則をすることをおそれず、思い切ったプレーができるため、大きく陣地を進めることができたり、ときにはトライにつながることもあります。ちなみに、このボーナスタイムは、たとえば反則された側が大きく陣地を進めるなどして、レフリーが「反則された側は充分に利益を得たな」と判断すれば、「アドバンテージオーバー」というコールとともに終わり、本来の平等な状態に戻ります。
くり返します。『アドバンテージ』というのは、「反則があっても、反則をされた側が優勢な間は試合を止めない」というルールです。
そういうわけで、50分39秒ではまだ笛を吹きません。この時点では、レフリーは、アイルランドが優勢だと判断し、日本の反則切符を切らずに保留したわけです。
さあ、ボーナスタイムを与えられたアイルランドはチャンス、罰ゲームが始まった日本はピンチ、という状況です。トンプソン選手の手からこぼれたボールをアイルランドが取ったら、日本にとっては非常にまずいことになる(可能性があります)。そこで1秒後の50分40秒、日本代表のピーター・ラブスカフニ選手(ニックネーム:ラピース)が、すかさずセービングでボールを確保します。超ファインプレーです。なぜなら、日本がボールを確保したことによってアイルランドは劣勢とみなされ、そこでアドバンテージが終わるからです。日本からすれば、アイルランドに大きな利益を与えるよりは、なるべく早めにアドバンテージを終わらせて、ノックオンの反則をとられた方がましなのです。
50分41秒、レフリーは「(反則された側の)アイルランドがボールを奪われちゃった。これはいかんぞ」と判断し、笛を吹きます。横向きに立ち、あらためて、反則をされたアイルランド側にある左手を挙げ、「反則されたのはアイルランド」と示すのですが、それはつまり「アイルランドのボールで再開するよ」という意味にもなります。さらに、上げた右手を倒すようなジェスチャーで、「ついさっき、日本がボールを落としたよね。その(ノックオンの)反則切符を切るよ」と伝えるのですが、それは「ノックオンだからスクラムね」という意味にもつながるわけです。
そして、しばらくの『中断』を経て、アイルランドボールのスクラムが始まるのです。
フリーキック
やや重い反則(後述)があった際などの再開方法として、反則された側に与えられる選択肢のひとつです。もちろん反則された側が蹴ります。とりあえずは、動画でイメージを確かめてください。
【やや重い反則の例】
反則名 | 反則内容 |
アーリーエンゲージ | スクラム時、「セット」のコール前に肩を合わせた |
アーリープッシュ | スクラム時、ボール投入前にスクラムを押した |
ちょっとだけお話しすると……
フリーキックでは、動画のようにコート内に蹴って陣地を回復することができますが、ほぼ相手にボールを渡すことになります。また、タッチラインの外に蹴り出すことで陣地を回復することもできますが、その後の再開方法は、相手ボールのラインアウトになります。ようするに、陣地は回復、ボールは渡す、ということです。
この動画のフリーキックまでの経緯を知りたい方は……
動画左上の試合時間74分45秒あたりからご覧ください。ゼネラルプレーでの日本の攻撃中、田中史朗選手のノックオンが取られ、ロシアボールのスクラムが始まります。レフリーが「クラウチ……、バインド……」とコールしますが、次に「セット」とコールする前に、おそらく具智元選手(ニックネーム:グーくん……普通に君付けです)が肩を合わてしまった。ロシアの18番アザマト・ビチエフ選手(前列手前側)が顔を上げ、「グーくん、早くね?」とアピールしているようですね。これは『アーリーエンゲージ』という反則になります。やや重い反則に該当しますから、反則された側にフリーキックの権利が与えられます。
ゼネラルプレー(パス)での軽い反則(ノックオン)で中断、さらにセットプレー(スクラム)でのやや重い反則(アーリーエンゲージ)で中断、ふたたびセットプレー(フリーキック)で試合再開という展開です。
ペナルティキック
重い反則(後述)があった際の再開方法として、反則された側に与えられる選択肢のひとつです。もちろん反則された側が蹴ります。イメージは、フリーキックと同じですが……
【重い反則の例】
反則名 | 反則内容 |
ノットリリースザボール | タックルされた選手がボールを放さなかった |
ノットロールアウェイ | タックルした選手が倒れたまま、その場を離れず、プレーの邪魔になった |
ちょっとだけお話しすると……
ペナルティキックは、フリーキックのようにコート内に蹴って陣地を回復することもできますが、それでは相手にボールを渡すことになるため、同じく陣地を回復するにしてもタッチラインの外に蹴り出すのが定石です。というのも、フリーキックとは違い、外に蹴り出した後の再開方法が、マイボールのラインアウトになるからです。
反則をした側からみれば、陣地を回復された上に相手ボールのまま、これが『重い反則』の代償です。
この動画のペナルティキックまでの経緯を知りたい方は……
64分35秒あたりからご覧ください。ボールをもらったアイルランドの5番、ジェームズ・ライアン選手(身長:203cm/体重:116kg)が、堀江翔太選手(ニックネーム:しょうた……またしてもたんなる呼び捨て)に向かって突進してきます。このとき、ライアン選手が「やばっ、しょうたの見た目……怖っ!」と恐れをなしたかは分かりませんが、その巨漢選手を堀江選手は臆することなく、がっしりと受け止め、倒します。すかさず姫野和樹選手(ニックネーム:ひめ、ひめちゃん)が勇猛果敢なジャッカルでボールを奪いにいきます。
なぜジャッカルが勇猛果敢なプレーなのか。それは、ジャッカルが、ボールを奪うためとはいえ、無防備でタックルの標的になるようなプレーだからです。たとえば、ボールを持って走っているときにタックルに入られそうになれば、曲げた片腕を盾のように構えて当たったり、片手を突き出したり(ハンドオフといいます)、ある程度の受け身を取れます。ところがジャッカルの場合は、ボールを奪うために両手を使っていますから、タックルをされても充分な受け身が取れません。そういう危険を冒してまでボールを奪いにいくプレーであるからこそ、ジャッカルをする選手(ジャッカラー)は称賛されるのです。
話を戻します。姫野選手にジャッカルでボールを奪われそうになったライアン選手がとにかくボールを放しません。姫野選手のニックネームと勇猛果敢さのギャップに「ひめちゃんて、そのニックネーム、違くね?」と思考が停止したのか、「ひめちゃんには渡さないもん!」と意味不明の意地を張ったのか、ボールを放したくとも放せない状態にいたのか、またはそういう状態にされたのか、そのいずれにせよ、「ボールを放さない」という行為によって『ノット・リリース・ザ・ボール』という反則を取られます。倒された選手に許されるのは、パスやボールを置くなどのワンアクションのみで、ただちにボールを放さなくてなならないのです。この反則は『重い反則』に該当しますから、日本にペナルティキックの権利が与えられたわけです。
ジェネラルプレー(ジャッカル)を仕掛けられた際の重い反則(ノット・リリース・ザ・ボール)で中断、セットプレー(ペナルティキック)で試合再開という展開です。
さらに、フリーキックとは違い、直接ゴールを狙うこともできます。ペナルティゴールといいます。
この動画のペナルティキックまでの経緯を知りたい方は……
動画左上の試合時間4分17秒あたりから、再生速度0.25(画面右下の歯車マークから設定可能)でご覧ください。ボールをもらった堀江選手が突進、アイルランドの7番ジョシュ・バンダーフリアー選手のサイドタックルを受けつつも、果敢に進行方向に向かって倒れ、ラックと呼ばれる密集ができます。その中で、『グーくん』こと具選手が、アイルランドの1番キアン・ヒーリー選手をどかそうとします。ちなみにラックのような密集でのボールの奪い合いで、相手の選手をどかしてボールを出しやすくするプレーを『はがす』といいます。一所懸命にヒーリー選手をはがそうとするグーくんを、『トモ』ことトンプソン選手が「えいっ!」と加勢します。結果、ヒーリー選手は映画『犬神家の一族』の名シーンを彷彿とさせるような両足挙げポーズで、グー君を道連れに日本側に倒れ込みます。この倒れ込みによって取られる反則が、『スケキヨ』ではなく、『オーバー・ザ・トップ』です。「密集で相手に倒れ込み、ボールが出るのを妨害してはならない」というルールに反しているわけです。これも『重い反則』に該当しますから、日本にペナルティキックの権利が与えられたわけです。
ジェネラルプレー(ラック)での重い反則(オーバー・ザ・トップ)で中断、セットプレー(ペナルティキック)で試合再開という展開です。
ラインアウト
ボール、または、ボールを持っていたプレーヤーがタッチラインに触れた、または、越えた場合の再開方法で、サッカーのスローインと同じ役割のプレーですね。当然、反則された側のマイボールで始めます。
これも、スクラムで見たのと同じ『かなチャンTV』の動画が分かりやすいので、ご覧ください。
動画の中で、5メートルラインと15メートルラインに言及していますが、とりあえず今は気になさらずに。
実際の試合では、こんな感じです。
この動画のラインアウトまでの経緯を知りたい方は……
じつは、このラインアウトは、ペナルティキックの1本目の動画で田村優選手(ニックネーム:ゆう……日本人選手のニックネームは、ほぼ呼び捨てのようですね)がタッチラインの外に蹴り出した結果です。1本目からをまとめれば、ジェネラルプレー(ジャッカル)を仕掛けられた際の重い反則(ノット・リリース・ザ・ボール)で中断、セットプレー(ペナルティキック)で再開、蹴ったボールが外に出て中断、セットプレー(ラインアウト)で再開という展開です。
ドロップアウト
ペナルティキックでのゴールの失敗や、インゴールでのプレーによる中断などからの再開方法です。ペナルティキックを蹴られた側、ボールがプレーされたインゴールを自陣とする側のボールで始めます。動画でイメージだけつけておいてください。冒頭でアイルランド側が蹴ります。
この動画のドロップアウトまでの経緯を知りたい方は……
3分40秒あたりからご覧ください。ボールをもらった日本のラファエレティモシー選手(ニックネーム:ティム)がディフェンスラインの間を絶妙のグラバーキック(ボールを転がすキックです)で、ゴール前に転がし、松島幸太郎選手(ニックネーム:マツ)がそのボールを追います。もう少しでトライというところでしたが、ボールはアイルランドの11番ジェーコブ・ストックデール選手の手に収まり、タッチダウン(相手が蹴ったボールを自陣のインゴールに置くこと)されて中断。アイルランドのドロップアウトで試合が再開されます。
ジェネラルプレーの継続中にキックされたボールが、タッチダウンされたことによって中断、ドロップアウトで再開という展開です。
ちょっとだけお話しすると……
2019ワールドカップの翌々年2021年8月1日に、新ルールが試験的に導入され、翌2020年7月1日に改正施行されました。その中で、ドロップアウトについてもいくつか変更があり、たとえば、上の動画のケースであれば、インゴールで蹴ることになりましたが、そこまで知らなくとも観戦時には支障ありません。
反則された側の選択肢
ここで、反則の重さ別に試合再開方法の選択肢をまとめておきます。
反則の重さ | 反則された側に与えられる選択肢 |
軽い | スクラム |
やや重い | フリーキック、スクラム、ラインアウト(ラインアウトで起こった反則の場合) |
重い | ペナルティキック、スクラム、ラインアウト(ラインアウトで起こった反則の場合) |
くどいようですが、これもまた『ラグビーっていろんな面で要素が多いよね問題』のひとつであります。(やや)重い反則の選択肢が、サッカーに比べて、1つ、場合によっては2つ多いですね。
その中から、どれを選ぶのか?
その選択が勝敗の分かれ道になることがあります。ポイントはペナルティキックです。このキックが成功すれば3点入るわけですから、ディフェンスの強い相手には、その3点を積み重ねていくことも、ひとつの手になります。逆に、いちかばちかで点差を詰めていくなら、ペナルティキックの3点を捨て、スクラムやラインアウトを選択し、そこからトライの5点、ゴール成功の2点、計7点を狙っていくことになるわけです。
このあたりの選択も、ラグビー観戦の楽しみのひとつであります。
次は、これらの反則を裁くレフリーについて。
レフリー
中継でラグビー観戦を楽しむ際に有益なガイドになるのが、レフリーの笛とジェスチャーです。
笛とジェスチャー
レフリーがジェスチャーをする際は、プレーヤーに分かりやすいように、タッチラインに平行に立ちます。その状態で、いずれかの腕を上げれば、腕を上げた方の陣営を指し示すことになるからです。
反則の重さ | 笛の長さ | ジェスチャー |
軽い | 「ピッ!」と短く | 反則された陣営側の腕を伸ばし、水平か斜め下に上げながら(または、上げた後)、もう一方の腕(または両腕)で反則内容を示す。 |
やや重い | 「ピーッ!」と長く | 反則された陣営側の腕を肘を直角に曲げて上げながら(または、上げた後)、もう一方の腕(または両腕)で反則内容を示す。 |
重い | 「ピーッ!」と長く | 反則された陣営側の腕を伸ばし、斜め上に上げながら(または、上げた後)、もう一方の腕(または両腕)で反則内容を示す。 |
反則の種類とそれを示すジェスチャーについて知りたい方には、日本経済新聞社さんの絵でわかるラグビー反則編をお勧めします。
さらに、レフリーの笛とジェスチャーを有益な情報にするために、『アドバンテージ』というルールと、それについてのレフリーの動きも知っておいた方がよいでしょう。
アドバンテージ
アドバンテージというのは、反則された側に与えられる時間、しかも圧倒的に有利なボーナスタイムのようなものです。
たとえば、白組と紅組の試合で、白組の攻撃中に紅組が反則をしたとします。
そのとき、レフリーが「紅組の反則で、白組が劣勢になった」と判断すれば、すぐに笛を吹き、試合を中断します。
逆に「反則はされたが、まだ白組が優勢だ」と判断した場合、レフリーは白組の攻撃を止めず、笛を吹く代わりに『アドバンテージ』を伝えるコールやジェスチャー(これについては後述)をします。ここから白組のボーナスタイムが始まり、以下のいずれかの状況になるまで、白組の攻撃が続きます。
① 白組が充分な利益(陣地を大きく進めるなど)を得た、とレフリーが判断した場合
② 形勢逆転し、白組の優勢が終わった、とレフリーが判断した場合
③ 白組が反則をした
①の場合、レフリーは「アドバンテージオーバー」とコール、白組のボーナスタイムは終了し、試合は継続されます。②と③の場合、白組にアドバンテージを与える原因となった紅組の反則を取り、その反則が起こった地点から、白組ボールでのセットプレーになります。
ですから、白組はミスや反則をすることをおそれず、思い切ったプレーができるため、大きく陣地を進めることができたり、ときにはトライにつながることもあります。
『アドバンテージ』を伝えるコールやジェスチャー
先ほどの続きで、「白組と紅組の試合で、白組の攻撃中に紅組が反則をした」という設定でお話しします。
審判が、アドバンテージを与える判断をした場合、笛を吹いて試合を中断する代わりに、コールとジェスチャーをします。
【ジェスチャー】
反則をされた白組陣営側の腕を伸ばして上げます。腕を上げる角度は、レフリーによって多少の違いはありますが、ほぼ水平が多いと思います。
【コール】
基本的に以下3点のいずれかです。
① たんに「アドバンテージ」とコール
② たんに反則名をコール(かりにオフサイドの反則であれば「オフサイド」とコール)
③ 上記2つを併せてコール(「オフサイドアドバンテージ」とコール)
ただし、レフリーによって、また同じレフリーでもプレーの状況によって、ジェスチャーやコールのタイミングや有無は変わってきます。
以上を踏まえて、お時間がある方は、今まで観たセットプレーの動画を、レフリーに注目して見直してみるのもよいかと思います。
次に、レフリーそのものについて述べてみます。
ラグビーにおける『レフリー』とは
ラグビーのレフリーは、たんにプレーをジャッジするだけでなく、選手たちと一緒に試合を作るんですね。危険の多いスポーツであるからこそ、フェアで、反則のない、安全な試合にする(その結果として観客にとって面白い試合にする)ために、選手たちにいろいろと指示を出したり、声を掛けたりします。選手とのコミュニケーションが多いんです。レフリーの言動も、ラグビー観戦のひとつの楽しみだと思います。
ちなみに、フリーキックのところに貼った動画は、2019ワールドカップの日本対ロシア戦ですが、レフリーが、ラグビー界で最も有名で、最も尊敬されるレフリー、ナイジェル・オーウェンズさんです。 試合中、オーウェンズさんが、”Thank you very much”と言って選手の協力に感謝したり、”very good contest(とてもいい競り合いだ)”とプレーを褒めたり、選手が気持ちよくプレーできるよう気を使っているのが見て取れます。
残念ながら、オーウェンズさんは2020年11月28日の試合を最後に、国際試合から引退されていますが、彼のレフリーとしてのふるまいは、今後も後輩のレフリーたちに多大な影響を与え続けると思います。ありがとう、ミスターオーウェンズ!
オーウェンズさんに興味を抱いた方のために、動画を3つご紹介します。まずは、試合前のオーウェンズさんについての動画です。
次は、『ジョーク集』というより『名ゼリフ集』です。
動画の最終パート(4:55~)で、2015ワールドカップのスコットランド対南アフリカ戦の1シーンが取り上げられています。
スコットランドの15番スチュアート・ホッグ選手がキックした直後に、南アフリカの1番テンダイ・ムタワリラ選手が接触します。するとホッグ選手が「え~、なになに、も~やだ~」と言わんばかりに力なく倒れこんでいますね。
ラグビーには「ボールを蹴ったばかりの相手側プレーヤーに故意にチャージしたり、妨害したりしてはならない」というルールがあります。つまりホッグ選手は、力なく倒れることによって「ムタワリラ選手はルールに反しているよ~、危険なプレーだよ~、イエロー、……いやいやレッドカードだよ~」とアピールしたわけです。
ところが、オーウェンズさんは、そのホッグ選手に対して、「はあっ? 君、なにしとんねん」と言わんばかりの表情を浮かべ、ムタワリラ選手が接触したのは故意ではない理由を述べた上で、「もう一度ダイブしたいなら2週間後にここに戻ってきてプレーしろ」と切って捨てます。
というのも、この試合が行われたスタジアム『セント・ジェームズ・パーク』は、サッカープレミアリーグに所属する『ニューカッスル・ユナイテッドFC』のホームスタジアムなんですね。ようするに、2週間後にサッカーの試合が行われることを踏まえたジョークなわけです。(これはあくまでジョークです。なぜなら、サッカーも素晴らしいスポーツだからです。といいますか、スポーツはみな素晴らしい)
結果、ホッグ選手は「そうだった、今日のレフリー、オーウェンズさんだった」と言わんばかりに、力なく首を振るしかなかったのです。
最後は、ボールボーイが投入されたボールが珍ハプニングを引き起こします。
ボールボーイの少年にとっても、生涯忘れられない、いい思い出になったことでしょう。
では、「何をすれば、何点入るのか?」という話、得点方法に進みます。
得点方法
トライ:5点 + ゴール:2点
相手陣インゴール(ゴールライン上も含む)にボールを置けば5点。
トライによって与えられるキック(コンバージョンキックといいます)でゴールを決めれば2点。
稲垣啓太選手のトライと田村優選手のコンバージョンキックを併せてご覧ください。
ペナルティゴール:3点
ペナルティキックでゴールを決めれば3点。
ペナルティキックの2つ目の動画がこれです。キック自体はトライ後のキックと同じです。
ドロップゴール:3点
ジェネラルプレーの際中に、ドロップキック(手に持ったボールを落とし、地面に一度バウンドさせてから蹴るキック)でゴールを決めれば3点。
ペナルティトライ(認定トライ):7点
トライ間近の状況で守備側が反則をした際に、「この反則がなければトライだった」とレフリーが認定した場合、トライが与えられます。さらに、コンバージョンも蹴る必要がなく、併せて7点が自動的に得られます。
本記事のまとめ
長々と書いてしまいましたが、もし、ここまで読み進めてくださった方がいらっしゃるのなら、大変ありがたいです。
人間というのは不思議なものですね。理解したい対象(たとえばラグビーというスポーツ)に分からなければならない要素(たとえばルール)が10個あったとします。その10個のうち、分かる要素が多ければ多いほど、分からない要素についても察しがつく、または分からない要素が気にならなくなる。逆に、分からない要素が多ければ多いほど、分からない要素が気になって、その挙句、分かっていたはずの要素も分からなくなる。脳が『分かるということ』を拒否するのかもしれません。こうして、理解したい対象がカオスになっていくんですよね。
私ふわりが、ラグビー観戦初心者、または未経験者のみなさんに、この記事の中で意識していただきたいのは、『試合の流れ』、『セットプレー』、『レフリー』、そして『得点方法』と銘打った4つの章の内容です。それより前の部分は、この4つを分かってもらうため、もしくは今後の記事を読む際の準備として書いたようなものです。
この4つの章の内容は、ラグビー観戦を楽しむ上でのカギになると思っていますので、くどいようですが最後にまとめさせていただきます。
まず、試合の流れは、ジェネラルプレー、それを中断させる原因、セットプレーで再開、そしてまたジェネラルプレーという繰り返しです。
中断の原因の中で、『得点』と『ボールが外に出る』については、観ていて分かるはずです。ということは、観ていてもよく分からない状況でレフリーが笛を吹き、試合が中断すれば、「おそらく反則があったんだろう」と察することができます。その際、レフリーのジェスチャーやコールに注目すれば、ある程度のことが分かるはずです。仮に、「レフリーのコールが聞こえない」、「ジェスチャーが映らない」、「なんの反則か実況アナウンサーもはっきり言わない」という状況でも、中断の後にセットプレーが始まり、どちらのチームのボールで再開されるかが見て取れれば、「よく分かんないけど、とにかく、こっちのチームが反則したんだな」というように、分からない状況をざっくりと片付けられます。さらにセットプレーの種類によっては、反則の重さも分かります。
これだけでも、流れの大枠は見えます。そしてそれは、試合がカオスに見えるのを防いでくれます。『分からないこと』があっても、その『分からないこと』を気にしすぎて、『分かっていること』まで分からなくなってはいけません。『ラグビーっていろんな面で要素が多いよね問題』のところで述べたとおり、反則が起こっても、それが何の反則なのか、実況でさえ明言されない場合があるのですから、反則名なんて少しずつ自然に覚えるのに任せた方がいいんです。ラグビーのルールブックや解説サイトを見て「こんなに覚えなきゃいけないの~」なんてうんざりせず、つまり、木にとらわれず、森を見ましょう。
また、「応援するチームが反則をされたのが見て取れた」、もしくは「レフリーが重い反則のジェスチャーをしたのが見て取れた」とします。その上で中断に入った場合、たとえ反則名が分からなくとも、反則の重さによって与えられる選択肢と得点(方法)の知識があれば、自分(たち)の応援するチームが、これからどんな選択をするのか、ひとりワクワクしながら予想したり、あるいは一緒に観戦している仲間うちで、あーでもない、こーでもない、と言い合いながら、本来であれば退屈な中断という時間を、逆に楽しめます。
そして、そんな楽しみ方をしている人には、いや、そうでない人にも、ラグビー観戦では、これほどまでの興奮を味わうことができます。これほどまでの興奮とは? それは……
その時歴史が動い……
時は西暦2015年9月19日、イングランドはブライトンにて、第8回ラグビーワールドカップ、プールB初戦の火蓋が切られます。
ブライトンコミュニティースタジアムの青々とした芝のコート。
そこに立つのは、深緑に黄色のアクセントが映えるジャージ、南アフリカ共和国代表スプリングボクス。人種隔離と差別の制度『アパルトヘイト』の撤廃によって初参加となった第3回大会で優勝、前回の第7回大会まで、全5大会出場中2度の優勝、通算25勝4敗、勝率1位の戦績を誇る王者であります。
その王者に相対するのは、白地に赤のストライプ、桜のジャージを身にまとう日本代表ブレイブ・ブロッサムズ。第1回大会から連続出場を果たしてはいるものの、戦績は1勝21敗2分と振るっておりません。
誰もが南アフリカの勝利を疑わない一戦であります。
南アフリカのキックオフで始まった前半7分、五郎丸歩選手のペナルティゴールが成功、日本が3点を先制するものの、その後は逆転に次ぐ逆転のシーソーゲームとなり、10対12、日本の2点ビハインドで前半を終えます。
後半2分、またもや五郎丸選手のペナルティゴール成功で13対12と逆転、後半も幸先のいいスタートを切ったと思われましたが、直後の後半3分、南アフリカにトライを奪われてしまいます。その後は、同点に追いついては勝ち越され、これを三度も繰り返し、29対32で迎えた75分52秒、南アフリカの21番フーリー・デュプレア選手が蹴り上げたボールを五郎丸選手がキャッチ、そこからボールを回し、文字どおり死力を尽くした日本の猛反撃が始まるのです。
日本の連続攻撃がおよそ2分30秒間にも達しようとした78分19秒、ボールを抱え、ゴールライン目がけて突っ込んでいく五郎丸選手が、トライまであと一歩のところで、デュプレア選手と18番コーニー・ウェストハイゼン選手によるダブルタックルで倒されます。
ところがこの密集の中、高らかに響く笛の音が、観戦者の耳目をレフリーに集めます。日本側の腕を高らかにあげているところから、南アフリカの重い反則を取ったことは明白です。ただ、南アフリカ側に突き出したジェスチャーが何を表すのか少しわかりずらい。自分で笛を吹いておきながら、にわかに注目を浴びたことで緊張が走ったのでしょうか、レフリーは、ポケットから取り出したカードケースをコートに落としてしまいます。選手たちと同じ時間を走り続けているのです。疲労もあるのでしょう。拾ったケースから取り出したのは、イエローカード、そのカードを手に、手首を回しながら、腕を南アフリカ側に突き出します。このジェスチャーが意味する反則は『ノット・ロール・アウェイ』。レフリーは「ウェストハイゼン選手が、タックル後にその場を離れず、ボールが出るのを妨げた」とみなしたのです。さらにウェストハイゼン選手は、さかのぼること58分18秒にも同じ反則を取られており、その際、レフリーは、南アフリカの主将ジャン・デヴィリアスに選手に、”Next time yellow card”と宣告しておりました。その言葉どおり、ウェストハイゼン選手にイエローカードを出し、シンビン(10分間の退場)を命じます。
1人多い、という有利な状況になった日本ではありますが、日本の連続攻撃を2分半も耐え抜いた南アフリカは、強靭な肉体と鉄壁の防御を誇る世界屈指の、いやそれどころか、あのニュージーランド代表オールブラックスに並ぶ、まさに王者です。その王者を相手に、日本はペナルティで何を選択するのか。
実況カメラは、スタンド席コーチボックスを映します。ヘッドセットをつけて何やら指示をしているのは、ラグビー界の名将、日本のエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)です。今、日本代表がこうして南アフリカに健闘しているのも、エディーHCによる世界一過酷といわれるハードワークに耐え抜いた4年近くの年月のおかげ、と言っても過言ではないでしょう。おそらく、エディーHCの指示は「ペナルティゴールで同点を狙え」というものだと思われます。さすがの名将も緊張しているのか、おもむろにミネラルウォーターのペットボトルを手に取り、キャップに手を伸ばします。カメラが再びコートに向けられると、日本の選手が円陣を組み、なにやら話しています。この光景を見ながら、観客席の大多数が、世界中の観戦者の大多数が、こう思ったことでしょう。
「普通に考えたら、ここはペナルティゴールで3点狙いだよね。同点に追いつけるし。無難に引き分け狙い、それでも充分凄いでしょ。なんてったって相手は南アフリカだからね。……引き分けで充分でしょ……充分……、だけどなあ~……」
そして日本の主将リーチマイケル選手は、大方の予想を裏切る、だが期待には応える選択をします。それは、ペナルティキック。しかし、ゴールを狙うのではなく、外に蹴り出す。そして、マイボールでのラインアウトから、トライを狙う、つまり勝ちにいくという選択をするのです。
この選択に会場内、テレビの前の観戦者は、若干の期待はしていたものの、それでもなお騒然となったことでしょう。皆が皆、息を呑んだに違いありません。逆にコーチボックスのエディーHCは、口に含んだミネラルウォーターを噴き出していたかもしれません。激昂し、「マジカヨッ、リーチ!」と叫んで、ヘッドセットを投げつけ、「シクジッタラ、ヒゲソリヨッ!(しくじったら髭剃りよっ)」と言ったとか、言わなかったとか。なお、『ヒゲソリ(髭剃り)』は『ハラキリ(腹切り)』の代替刑かと察せられます。
そして、ボールは蹴り出され、日本のマイボールラインアウトで試合が再開されます。スローワーの木津武士選手が投げ入れたボールを、日本のブロードハーストマイケル選手がキャッチ、モールが形成され、そのままモールトライを狙います。バックスまでもがモールに加わり、ほぼ全員参加のモールが、南アフリカを相手にしながらも、徐々に勢いを増していきます。それに応じて、スタンドの観客の、そして実況アナウンサーのボルテージが上がっていきます。そしてついにゴールラインを突破、倒れ込むモール。80分近い死闘の果てに、インゴールに横たわる両陣営の選手たち。
「トライか!?」
世界中の観戦者が、固唾を呑んだ瞬間です。レフリーは、笛を吹いて試合を中断させると、試合時間も止め、トライの成否を確認しようとします。ところが、確信には至らなかったのでしょう。両手で四角形を描くジェスチャーをします。これはけして自分のジャッジに自信を失い『おべんとうばこのうた』を歌って現実逃避をしているのではなく、TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)のジェスチャーであり、ビデオ判定に委ねるという意味です。
そして長い中断が始まります。この間、日本人はもちろんのこと、多くの人々が、かつてのラグビー弱小国日本が、巨人南アフリカを倒すことを祈り、その瞬間を待ち望んだでしょう。およそ2分後、レフリーが笛を吹き、ジェスチャーをします。
そのジェスチャーの表すものは、ヘルドアップ。つまり、「ボールをグラウンディングしようとする日本の選手を南アフリカの選手が止めた。そこに反則はなかった」という判定です。残念ながらトライ成らず。
その直後、カメラが映し出したのは、ベンチで見守る日本のリザーブ選手たち。山田章仁選手や、まだ一般的な姿形をしていた堀江翔太選手が、仲間の猛攻に胸を躍らせながらも、それでもなお悔しがっている姿が映ります。カメラが観客席を映すと、そこには、ただただ呆然とする日本人観戦者たち。
ただし、まだチャンスは残されています。この場合、ゴールラインから5メートルの地点で、日本ボールのスクラムによって試合が再開されるからです。(2022年のルール改正により、2023年9月現在では、この場合であれば、ディフェンス側ボールでのゴールラインドロップアウトになります)
さて、スクラムの準備が始まり、79分25秒で止められていた試合時間が、再び動きだします。残すところ45秒。ここで再びカメラはコーチボックスのエディーHCを捉えます。ヘッドセットをしていないところから、「リーチ、ゼンゼンイウコトキカネエシ……ゼンゼンキカネエシ……ゼンゼン……ゼンゼン……」と寂し気につぶやき、指示を出すのをあきらめたのか、本当にヘッドセットを投げつけて壊してしまったのか、いずれかは分かりかねますが、穏やかな顔で、自分が育てた選手たちの奮闘を見守っているようにも見えます。
コートではスクラムが組まれ、日和佐篤選手がボールを投げ入れます。そしてスクラムが動きだした直後、日和佐選手のナイスアピールが日本にチャンスをもたらします。南アフリカの8番スカルク・バーガー選手が、まだスクラムからボールが出ていないのにもかかわらず、味方とのバインドを解いているのです。スクラムの反対側に立っていたレフリーが身を乗り出して、バーガー選手の行為を確認できたようにも見えますが、日和佐選手も手を上げてアピールしています。おそらく、「自分はまだボールに触っていないよ」とか「ボールはスクラムの中だよ」という意味なのでしょう。そのアピールと同時にレフリーが手を上げ、日本にアドバンテージを与えます。ところが、その直後、南アフリカのデュプレア選手がボールに絡んだため、レフリーは笛を吹きます。そして日本側の左腕を高く上げ、南アフリカに重い反則があったことを示すと、伸ばした右腕に左手を添えて上下します。バーガー選手の反則は『ノーバインド』、日本に再びペナルティが与えられます。
ほぼ80分を戦い抜き、疲労困憊、満身創痍の日本代表。この数分、攻めても攻めても南アフリカの鉄壁のディフェンスを破ることはできませんでした。日本と変わらず苦しい南アフリカに、日本の猛攻を止め続けさせるのは、もはや王者の意地、プライドだけなのかもしれません。その王者のプライドより強い何かが日本代表になければ、この壁は崩せないでしょう。
ペナルティーゴールを選択すれば、楽になれるのです。
28年前にラグビーワールドカップが初めて開催されてから、わずか1勝しかあげていない日本代表。南アフリカが初出場で優勝した1995年の第3回大会では、ニュージーランドに『17対145』という歴史的大敗を喫したこともありました。
王者南アフリカを相手に、一度は勝ちにいく選択をしたのです。それだけでも、ブレイブ・ブロッサムズ(勇敢な桜の戦士たち)の名に値するほど勇ましい。ここでペナルティゴールを選択しても、引き分けで終われば、充分よくやったと世界中から賞賛されるのです。
さあ、再び与えられたペナルティで、リーチ主将は、日本代表は、どういう選択をするのか。
この数分で二度のチャンスをものにできなかった日本。
もし、その日本が勝ちにいく選択をするのなら、何をもって王者のプライドを打ち崩そうというのか。
そんな日本に勝利の女神は微笑むのか。
そして皆さん、いよいよ今日の『その時』がやってまいります……
せっかくですので、日本の反撃が始まる数秒前、75分48秒からご覧ください。
いかがでしたでしょうか。私ふわりは、何度見ても声を上げ、目頭が熱くなってしまいます。ちなみに、日本が最後の選択をした直後の80分26秒、のちに『南アフリカ戦勝利の女神』と称され有名になったサリーさんが、桜のジャージ姿で、”Come on Japan!” と絶叫してますね。微笑むどころか絶叫ですから、日本代表のメンバーも「こりゃあ、行くしかないっしょ!」と勢いづいたのかもしれません。『女神の絶叫』というより『女神の後押し』って感じでしょうか。
では、また次回お会いしましょう。ありがとうございました!
ふわりふらり
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